10月から始める冬肌への対策とは

10月の終わりから11月にかけて気温も湿度も急激に下がります。外気は乾燥し、肌の水分も奪われ、皮脂分泌も減ってしまいます。角質層の水分と皮脂の量が減ってしまうことで、ターンオーバーは低下し、バリア機能が衰えます。

10月の肌状態を知ろう

バリア機能が衰えた角質内は、細胞間脂質や天然保湿因子が減少し、肌はカサつきとごわつきに悩まされます。肌表面は毛羽立つ状態となり、ツヤがなくなり、くすんでみます。皮脂が少なくなったことでツヤやハリが損なわれ、老けた印象を周りに与えてしまうでしょう。

<冬肌へ向けての具体的な対策>

1.保湿を強化する

本格的な冬の乾燥を迎える前に、今まで以上に保湿ケアを行いましょう。
保湿に力を入れるといっても、化粧水や乳液、クリームといったアイテムを増やせばいいというわけではありません。化粧水で水分を与えても、すぐに蒸発してしまいます。乳液やクリームでフタをすれば保湿万全という思い込みも捨てた方がいいです。どんなにアイテムを増やしても水分保持力がないものであれば、時間とともに肌は乾燥してしまいます。

肌の外から水分を取り入れるのではなく、肌の内側から湧き出る水分保持力を保つようにサポートしてあげることが大事です。

そこで注目すべきが、細胞間脂質であるセラミドの存在です。セラミドは細胞間脂質の40%を占めており、水分を挟み込んで離さない特性があります。湿度が下がっても水分を保持できる最強の保湿物質です。

セラミドを増やすことができる成分が、αリノレン酸です。αリノレン酸が配合された化粧品を使用することで、角質内のセラミドが増えていき、ふっくらハリと潤いのある肌になっていきます。乾燥しやすい本格的な冬であっても乾燥知らずの肌を保つことができます。

2.生活習慣の見直し

一日中冷え込んだ冬に入ってしまうと、免疫力が低下して体調を崩しやすくなります。体調が万全でないと肌も荒れやすくなります。肌は体内の影響をもろに受けてしまうのです。体調を崩しやすい冬が到来する前に、しっかりと体調管理を行いましょう。

美肌の大敵といえば、睡眠。いくら睡眠時間が取れたとしても、質の良い睡眠でないと成長ホルモンの分泌は妨げられ、肌のターンオーバーも正常に働きません。昼間はしっかりと働き、夜寝る前は穏やかな気持ちで眠りにつけるよう、自分なりの睡眠環境を整えることがポイントです。

さらに食事も大切な要素です。ビタミン類は肌のために良いというイメージですが、生野菜だけ食べてればいいというわけではありません。秋から冬にかけて積極的に摂りたいのが、代謝を高める栄養素です。

ビタミンEは肌の代謝を高める作用を持っています。代表的な食材がアーモンドなどナッツ類、モロヘイヤやカボチャなどです。ビタミンAも皮膚や粘膜の細胞分裂に関わる大切な栄養素で、ターンオーバーを正常化し、肌にうるおいを与えるために必要な栄養素です。人参やほうれん草、レバーや鰻などに多く含まれています。そのほか、良質なタンパク質に多く含まれるビタミンB2やビタミンB6も健康的な肌作りに必要不可欠です。

3.肌の血流アップ

肌の血行促進や血流アップにつながるケアを行いましょう入浴時に湯船につかりながら、蒸しタオルで顔全体を温めたり、そのあとに美容オイルを使ってフェイスマッサージもおすすめです。

マッサージによって肌全体の血流が良くなり、美容オイルに含まれる成分が肌内部にまで浸透しやすくなります。その結果、線維芽細胞の代謝や表皮細胞の活性化に繋がります。

4.シンプルケアを心掛ける

季節の変わり目というのは、免疫力や抵抗力が落ちやすい時期です。バリア機能が弱まりやすい肌は、ちょっとした刺激でも敏感になりやすい時期。今まで使っていた化粧品が合わなくなったりして肌トラブルを引き起こしやすいです。

美白化粧品やエイジングケア化粧品など刺激が強い成分が配合された化粧品はしばらく避けた方がいいです。また、保湿のためといって化粧品アイテムを増やすのもあまりおすすめしません。

できるだけシンプルで低刺激のアイテムを選択し、使用するようにしましょう。本当に肌にとって必要な成分のみ補充するという考えで化粧品を選ぶことで、肌本来が持つ水分保持力が高まりますし、肌トラブルを回避することも可能です。

「寒暖差疲労」って知っていますか?

寒暖差疲労とは、大きな気温の変化に体がついていかない状態です。成人の平熱は、個人差はあるものの、大体36℃前後から高くても37℃前半くらいに保たれています。体の機能を守るために、体温を一定にコントロールする「ホメオスタシス(恒常性)」の仕組みが備わっているからです。

体温の維持に重要な役割を担うのが、自律神経です。外気温が高いときは、体温を下げるために血流を活発にし、汗をかいて熱を発散しています。一方、気温が低いときは血流を滞らせ、毛穴を閉じて体温を逃さないようにします。

多少の温度の変化であれば、ホメオスタシスが機能するため問題はありません。しかし、寒暖の差が大きくなると、体温を一定に保つため、自律神経の働きが必要以上に活発になります。その結果、過剰にエネルギーを消費することになり、体に疲労が蓄積してしまうのです。

昼と夜との寒暖差が大きくなりがちな季節の変わり目や、暖かい室内から気温の低い室外へ移動する場合などは寒暖差疲労がたまりやすいので注意が必要です。

急激な温度変化がもたらす健康リスク

急激な温度変化は、肉体面のみならず精神面にも影響を及ぼします。特に思い当たる原因がない場合は、寒暖差疲労を疑ってみてもいいかもしれません。

●肉体的な不調
頭痛やめまい、肩こりなどの症状がみられます。体内のエネルギーの大量消費により、冷え性を引き起こし、だるさが続いたり、食欲がなくなったりすることもあります。

●精神的な不調
自律神経の乱れにより、イライラや不安、落ち込みなどの精神的なダメージを受けやすくなります。

寒暖差疲労をためないための対策

寒暖差疲労を放っておくと、慢性的な自律神経失調症や冷え性を招く可能性があります。早めの対策を心がけましょう。

●温度差をなくす
寒暖差疲労を起こさないためには、まず体に寒暖差を感じさせないことが大切です。室温がコロコロ変わると寒暖差疲労をため込む原因になるので、エアコンで一定の快適な温度に保ちましょう。

ただし、外気温との差が大きくなると、外に出たときに体への負担が大きくなります。室外との温度差は7℃以下が望ましいでしょう。外出する際は薄手のカーディガンや上着を重ね着して、うまく体温調整をしてください。

●バランスのとれた食事を心がける
バランスの良い食事をとって、寒暖差疲労に負けない体づくりをしましょう。エネルギー源になるたんぱく質や、疲労回復効果のあるビタミンB群は積極的に摂取したいですね。

●良質な睡眠をとる
自律神経には、心身を活動モードにする「交感神経」とリラックスモードにする「副交感神経」の2つがあり、互いにバランスをとりながら健康状態を維持しています。良質な睡眠をとることは、副交感神経を優位にし、心身を疲労から回復させるのに有効です。

●適度な運動をする
寒暖差疲労は、体力のない女性や高齢者に多くみられる傾向があります。適度な運動を習慣化して、疲れにくい体を目指しましょう。

●お風呂にゆっくり浸かる
入浴すると全身の血行が良くなり、体に蓄積された疲労物質を取り除く効果が期待できます。自律神経のバランスを整えるためにも、シャワーで済ませるのではなく、ぬるめのお湯にゆっくり浸かるのがおすすめです。

気温の変化は体にとってストレスにほかなりません。激しい寒暖差が続くと、自律神経のバランスが崩れて疲労がたまり、さまざまな体調不良を引き起こすリスクが高まります。日頃から対策をして、寒暖差疲労をため込まないようにしましょう。